マニュアルの代表的な 国際規格としては、「IEC 82079-1」や「ISO 20607」があります。

「IEC/IEEE 82079-1」とは

「製品の使用情報(使用説明)の作成-第1部:原則及び一般要求事項」

前身のIEC 62079(電気及び関連分野−取扱説明の作成− 構成,内容及び表示方法 )から2012年に改訂された国際規格です。

IEC 62079では「電気及び関連分野の取扱説明」を対象にしていたのに対し、IEC/IEEE 62079では「すべてのタイプ の使用説明の設計及び作成に関する一般原則並びに詳細要求事項」について規定されています。
また、IEC/IEEE 82079-1で定義される「使用説明」とは、「製品の供給者が使用者に提供する情報で、製品を安全かつ効率的に使用するために実施する行為を伝えるために必要なすべての規定を含むもの」を意味します。

つまり、IEC/IEEE 82079-1で規定される内容は、以下のような適用範囲であるということです。

「すべての製品」が対象

家庭向けの雑貨や家電製品をはじめ、産業機械やプラント、大型建造物まであらゆる製品が対象となります。

「すべての使用説明」が対象

マニュアルだけではなく、梱包や製品上に記載されている情報やカタログ、警告ラベルまでも対象となります。

IEC/IEEE 82079-1適合のメリット

「IEC/IEEE 82079-1」は、基本安全規格であり、あらゆる機械類に対して適用できる基本概念、設計原則および一般的側面を規定する規格です。

国際的に通用

IEC 82079-1は、国際規格です。したがって、IEC 82079-1に適合することは、国際的に通用する使用説明と言えます。

製品の規格適合に有利

IEC 82079-1は、同内容でBS規格の「EN 82079-1」として発行されています。これは、欧州においての統一規格であり、使用説明に関するEN 規格は、今のところ「EN 82079-1」のみです。例えば製品を低電圧指令に適合させるには使用説明をEN 82079-1 に適合させる必要があるということになります。したがって、あらかじめ使用説明を「EN 82079-1」に適合させて作成しておけば、CEマーキングなどの規格適合時に慌てずに済むということです。

「ISO 20607」とは

「機械類の安全性-取扱説明書-起草のための一般原則」

2020年4月から「ISO 20607」は、機械指令の整合規格となりました。これにより、欧州へ出荷する機械の多くは、取扱説明書の作成において「ISO 20607」に準拠する必要があります。

この「ISO 20607」は、機械製造業者が「Instruction handbook」を作成するための要求事項を定めています。

「ISO 20607」は、ISO 12100に記述されているタイプB規格です。

このタイプB規格は、機械製造業者に取扱説明書を提供する方法に関する手引について記載されています。

ISO 12100:2010、6.4.1.1によると、

使用情報ための製図は、機械の設計の不可欠な要素である。使用情報は、使用者に情報を伝えるために、テキスト、用語、標識、信号、記号及びダイヤグラムなどを個別に又は組み合わせたコミュニケーションの繋がりで構成される。使用情報は、専門家及び/又は非専門家を対象としている。

つまり、使用説明は、機械の使用情報の重要な部分であり、専門家も対象としています。また、「ISO 20607」では、IEC/IEEE 82079-1と比べて、より具体的な機械の安全仕様について述べています。

PL法とは

英語の(Product Liability)から、PL法と呼ばれる

日本では、製造物責任法(平成6年7月1日法律第85号)

製造物の欠陥により損害が生じた場合の製造業者等の損害賠償責任について定めた法規です。使用説明(マニュアル類)も製造物の一部ですので、内容に欠陥があれば損害賠償責任を求められます